当事務所に相談に来られた方々からの「よくある質問」と、それに対する「答え」です。
現実的には、依頼人にはさまざまな要因が重なりあっているために、単純明快なお答えはとてもできません。
ですので本来ならば個別にご相談いただきたいのですが、いくつかの点については少しは参考になると思いますのでお答えしたいと思います。
A:資金の調達策
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A-1 売掛金の早期回収はできるのでしょうか
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売掛金(請求書は既に出ているが支払日がまだ来ていない債権)の早期回収は、締め日支払日などの支払条件が決まっているとしても、交渉ごとなのですから、交渉の上で変更が可能です。
ただしこの問題は、得意先にお願いすることになるので、得意先に「どう評価されるか」などの点で不安材料はありますが、資金調達方法としては書類も必要ないし、利息も発生しないので、最もリスクの少ない資金調達法と考えるべきです。
倒産後に売掛金をたくさん残している会社をよく見ますが、倒産後にはそれは債権者のものになってしまうのです。
その前に会社のために使うべきではありませんか。
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A-2 融資の導入はできるのでしょうか
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融資は、いまや「保全」があるかなしかで決まるようです。
それは銀行などのまっとうな金融機関だけでなく、商工ローンや街金、裏金などのアウトローでもそうした傾向にありますので、融資の可能性はかれらにとっては”保全次第”だと申し上げざるを得ません。
一般的に資金不足になるとどうしても融資に頼ろうとするものですが、融資依存は「利息」が発生するので利益を圧迫するし、「元金」の返済はキャッシュフローに影響を及ぼすため、わたしはお勧めしません。
むしろ、借入返済を押さえることでキャッシュフローをつくるべきです。
仮に、月次五十万円の借入返済があるとしたら、それを止めれば年間六百万円のキャッシュフローができるのです。それを事業運転資金に活用する方がリスクが少ないのです。
発想を転換しましょう。
借りるより、返さない。です。
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A-3 資産の売却は可能なのでしょうか
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資産は、抵当権などの保全措置がなければ問題なく売却できるでしょう。
しかし、倒産の危機に瀕している方からの質問であれば、それは抵当権がついている不動産などを指していると思われます。
となると、抵当権者の了解がなければ売却できません。銀行などの抵当権がついている不動産は、銀行が抵当権をはずさないと購入した人がその抵当権を引き継ぐことになるので、売却ができなくなるのです。
しかし例えば、売却すれば三千万円になる不動産に抵当権をつけて五千万円借り入れている場合、利息は当然五千万円に対してついているわけですから、売却できるのであれば、利息は差額の二千万円に対してのみになるので、その負担は2/5に軽減されます。
よって売却するのが正解です。
しかし、抵当権者である金融機関はなかなかウンとはいわないのが現実です。
このような場合には、弁護士に同行していただいて交渉すれば、売却は可能になるようです。
B:リストラクチュァリング策
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B-1 リストラ策の優先順位は
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大事なことは、営業利益が確実にでるようにすることです。
それをガイドラインに考えてください。
優先順位はないと考え、聖域はないと見なして徹底的に絞ってください。
その際に基本的なことは、不要不急のものは徹底的に圧縮する、です。
わたしが対応した会社の中には、電話回線が多すぎたり、車両が多すぎたり、もちろん社員数が多すぎたりするところは思いのほか多いものです。自分の会社だと発見し難いようですが客観的に見直せばたくさん見つかると思われます。
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B-2 役員報酬の削減は必要ですか
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金融機関に対して、借入元金の凍結や利息の減率をお願いするようなときは「必」だとお考えください。それがなければ、逆に金融機関に指摘され恥ずかしい思いをすることにもなりかねません。
一般的なリストラとしては、役員報酬は圧縮のしがいがあるものなので、わたしは積極的に圧縮を指導します。それで生活に影響がでるのであれば、会社に対する貸付の返済(役員が会社に対して貸付をしているケースは多いものです)で生活費を確保します。
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B-3 一般管理費の圧縮はどこまで可能ですか
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一般管理費の圧縮は可能な限り最大に、と申し上げております。
わたしたちが対応した会社で、最大50%近くの圧縮が実現した会社がありましたが、50%は難しいとしても30%の圧縮はほとんどの会社で可能なようです。
社員のレイオフ、役員の減俸、事業所の移転(賃貸料の削減)、最終的には社会保険の断念が大きな効果を発揮します。社会保険は保険料が支払えなくなると(遡ってでも)脱退を指導してきますので、その前に脱退しても全く問題はないようです。
C:支払い条件の変更策
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C-1 手形のジャンプは可能ですか
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手形のジャンプの申し出は、受け取る側ではそれを見越して資金繰りをしているはずでそれが崩れるのですから大ごとです。
また、申し出る側も信用上の問題を賭けることになるので、大変に難しい交渉になります。
しかし、もしその手形が「不渡り」になったとしたら、それは受け取る側にとっての大問題です。資金繰りしていたのがアウトになるのですから。
そこで、交渉です。
当然のことながら、受け取る側の協力があればジャンプは可能です。
この問題は可能かどうかよりも、不渡りになれば事業継続の可能性もほとんどなくなり、たくさんの関係者に迷惑をかけることになるのですから、万難を排してそれを行うという気概がなによりも必要だと思います。
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C-2 支払期日の変更はできますか
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これも、約束ごとである以上、変更は可能と考えるべきです。
もちろん、信用上の問題がからむ大事な問題ですが、それをしないために資金ショートを起こし、事業継続ができなくなることを考えれば、これも万難を排して断行すべきであると考えられます。
なお、いわゆる「締め日・支払日」の変更は、交渉しやすい相手だけとすべきではありません。例外をつくらず、全ての取引先と行わなければ、結果としてトラブルの原因になります。
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C-3 延べ払いへの変更はできますか
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これも考え方は同様です。
資金不足で支払不能に陥っても、時間的な問題で将来的に支払えるのであれば、延べ払いに変更していただければ、資金調達は楽になります。
将来的に支払が可能でなければ絶対にやってはいけないことですが、交渉ごとである以上、最初から諦めるべきではありません。
D:(銀行借入の)借入利率の減率策
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D-1 借入利率はどこまで下がりますか
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銀行(信金、信組、農協など、預金を預かる金融機関)からの借入利率は、貸す側が決めることで、特に決まりはないようです。
一般的に「長期プライムレート」と「短期プライムレート」の間で決まるのが妥当だといわれてますが、わたしたちにはその利率でも不当に思えます。
その幅は「1.2%〜1.5%」程度といわれていますが、2012年10月現在の「基準貸付利率」(従来「公定歩合」といわれていたもの)は「0.3%」ですから(つまり金融機関は最高0.3%で貸し出し資金を調達できるのですから、1.2%でも「四倍」です。これは高いといわざるを得ませんが)、この辺が妥当な金利といえましょう。この辺までは下げていただけることが充分に可能です。
なお、「基準貸付利率」(従来の「公定歩合」)の最新データは、以下の日本銀行の発表資料を参照ください。基準割引率および基準貸付利率(従来「公定歩合」として掲載されていたもの)の推移 公表データ一覧 :日本銀行 Bank of Japan
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D-2 借入利率軽減をお願いしたのですが蹴られたのです
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金融機関との交渉は、借りている方が客であるにもかかわらず、貸す方が優位に立っているのが常ですね。
経営者が交渉に行くと、構造的には「お代官さま、お願いします」になってしまうので、かれらは「まかりならぬ」と蹴ってくるのです。
そこで、第三者に同行していただくことが有効です。
最も望ましいのが「弁護士」です。
この交渉は決して違法なわけではありませんし、弁護士に同行していただくと、交渉に応じないと(そうするかどうかは別にして)本店や頭取に内容証明が行くと思わせる効果があるようです。
税理士でも、経営コンサルタントでもいいのですが、いかにも脅かしにいくような第三者は避けた方がいいでしょう。
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D-3 借入利率軽減が決まるまでどれ位時間がかかるのですか
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一般的には、支店長決裁(その上で本店に報告もしくは稟議)になりますので、かれらの事務スピードでは一か月位はゆうにかかると思って下さい。
あまり時間がかかりそうだったら、利息分だけ口座に入れて引き落としを待つようにしないといくらでも時間稼ぎをされてしまいます。
ただし、振込などがあると引き落とされてしまいますから、その引き落とし口座は使わないようにしてください。
もちろん、このような要請がはじまると金融機関は新たな融資はしてくれなくなります。場合によっては手形の割引にも応じなくなることがありますので、その辺の配慮は充分にしておいてください。
E:借入元金返済の条件変更策
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E-1 短期借入の長期化はできるのですか
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基本的にはできます。
金融機関が拒否したら、その根拠を聞いてください。
一般的な金融機関の約定には「借り手の合理的な理由があれば条件変更に応じる」と明記してありますので、こちらの交渉の論拠はそこに求めます。
あくまでも「合理的根拠」、すなわち「応じていただけないと倒産する」というのが理由です。
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E-2 借入元金返済の一定期間の凍結なんてできるのでしょうか
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これも、可能です。
先に述べた論拠を基に、実際に実現してきた企業はたくさんありますし、応じた金融機関もたくさんあります。
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