【実録】「借りた分は返さなければ」——真面目な経営者ほど、決断が遅れる【才藤投稿】

「今日ここに来ること自体、もう遅いと思っていました」

本相談に来られたある依頼人が、席に着いてまもなく口にした言葉です。

内藤明亜事務所の才藤です。この日は、内藤と二人でお話を伺いました。ご本人が特定されないよう、業種や地域などの事情は変えてお書きします。

こんな毎月が続いていませんか

  • 返済日のお金を、売上ではなく借入で用意している
  • 黒字になった月が、ここしばらく一度もない
  • 「借りた分は、何とか返さなければ」と思い続けている
  • 家族や身内に、本当の状況を話せていない
  • 自分の通院や薬を、後回しにしている
  • 「相談しても、もう遅い」と思っている

この依頼人は、このすべてに当てはまっていました。

決断の機会は、何度もあった

依頼人は長く同じ業界で働いたのち、独立して会社を興されました。業界全体が縮んでいくなか、売上の減少を借入で補いながら会社を続けてこられました。

数年前、事業を手放したときに、まとまったお金が入りました。しかしそのお金は返済には回らず、新しく始めた事業の運転資金になりました。その事業も、損益分岐点に一度も届きませんでした。資金が尽きたときには、事情を知った知人が貸してくれました。

来所された日、会社の口座はほぼ空で、ご家族への生活費も数か月止まっていました。その日はちょうど、金融機関の引落とし日でした。

振り返ると、決断の機会は少なくとも3回ありました。事業を手放したとき。金融機関から新たに借りられなくなったとき。知人が助けてくれたとき。

先送りさせたのは、弱さではなく真面目さ

そのたびに依頼人を動かしたのは、「借りた分は、何とか返さなければ」という思いでした。

いい加減な方ではありません。むしろ逆です。恩を受けた人に報いたいという気持ちが人一倍強い方でした。ただ、その真面目さが、結果として借金を増やし、決断を遅らせました。

30年・1,000件以上のご相談を受けてきて、わたくしどもはこうした方を何度も見てきました。真面目な経営者ほど、決断が遅れます。

会社を続けるためのお金と、暮らすためのお金は違う

内藤自身も、会社を倒産させた経験があります。社員を抱えていた会社の最後の頃は、会社を続けるために毎月300万円を工面しなければなりませんでした。「なぜあれほど無理をして会社を続けたのか」。内藤は今でもそう振り返ります。

会社を続けようとすれば、毎月それだけのお金が要ります。しかし、ご家族と普通に暮らしていくだけなら、それほどの資金に追われることはありません。借入の返済に追われることもなくなります。

私がこれまでお会いしてきた依頼人の方からも、よく同じ声を聞きます。会社の破産を申し立てて手続きが進むなかで、「資金繰りに追われなくなって、むしろ以前より手元に残るお金が増えた」というものです。私自身も、似たことを経験しました。

先の見えない倒産は、不安でしかありません。ただ、この先どうなるかがはっきり見えてくると、再起は早まります。これは、多くの方を見てきて言える事実です。

その不安の多くは、仕組みを知らないことから生まれています。倒産とは、会社が立ち行かなくなった状態のことです。破産は、その処理のための法律上の手続きの一つにすぎません。そして、事業と会社という器も別のものです。続けられる事業なら別の形で生かす道を考え、見込みがなければ、不利益の少ない終わらせ方を考えます。知らないがゆえの不安で動けずにいるのは、あまりにもったいないことです。

先送りで失うのは、お金だけではない

一つは、選択肢です。資金が尽きると、法人の破産や代表者個人の破産を選ぶ場合でも、その費用をどう用意するかから考えなければなりません。終わらせ方を選ぶ余地は、時間とともに狭まります。

もう一つは、健康とご家族との時間です。この依頼人も、通院を後回しにされていました。ご家族にも、詳しい事情をまだ話せていませんでした。

ご相談で最初に伺うこと

相談に来られる方の多くは、これまでの経緯を順を追って話さなければ、と身構えていらっしゃいます。

けれども、一番大事なのは、今どうなっているか、そして本当はどうしたいのかです。それは、ご本人からはなかなか口にしにくいことでもあります。

ですから、当事務所でご相談の最初に伺うのは、これまでの経緯ではありません。「これから、どうしたいか」です。

「もう遅い」と思っても、続きはある

この依頼人とは、法人の破産と代表者個人の破産を軸に、生活をどう立て直すか、ご家族にどう話すか、何をいつまでに決めるかを具体的に話し合いました。

帰り際、内藤は「全部がうまくいくわけではない。でも、先は見えたと思う」と声をかけていました。

経営の失敗は、人生の失敗ではありません。会社が倒産しても、人生には続きがあります。業界の縮小のなかで会社をたたみ、まったく別の仕事で再出発された方の話は、「業界と共に沈む必要はない」の記事に書いています。

そして、「まだ何とかなる」と思っている今が、取れる選択肢が一番多いときです。


まず、今の状況をお聞かせください

ご相談は才藤が受け、後ろには内藤がいます。お話しいただいた内容が外に漏れることはありません。秘密をお守りすることは、書面でもお約束しています。

手元の資金がほとんどない状態でのご相談も、少なくありません。費用のことも含めて、まずご相談ください。

  • 本相談(有料):33,000円。決算書(直近1期分)をお持ちのうえ、事務所にお越しください。内藤が同席し、最大3時間お話を伺います。
  • 無料相談(事前相談):本相談の前に不安がある方は、才藤が電話またはZoomでお話を伺います。

返済日が迫っているなど差し迫った状況の方は、そのまま本相談にお越しください。

▶ ご相談お申込み

お申し込みは、ご相談申込フォームのほか、LINE・お電話でも受け付けています。

お電話:03-5337-4057

書ききれないことも多いので、ご相談ください。事前相談は無料です。

関連記事