【改定】 開業企業率と廃業企業率 【付記】を加えた
※ このエントリーは、2016年5月4日に三度目の修正をしたものを、2019.10.6.に【付記】を記し、三度目の改定をした。
※ 改定前の『開業企業数と廃業企業数』はそのまま置いておく。
※ 以下の、中小企業庁が発表している『中小企業白書』の開業率と廃業率について、数字を大幅に変えた原因が判明したので、【付記】として加えた。
改定した理由は、総務省の[企業統計調査]に基づいて中小企業庁が発表している『中小企業白書』の開業率と廃業率について、数字を大幅に変えたからだ。
中小企業白書2016年では、「日本再興戦略2016」(2016年6月2日閣議決定)でも、開廃業率のKPIとして用いられているため、本分析では当該指標を用いる、と記している。
※ KPIとはkey performance indicator の略で、企業目標の達成度を評価するための主要業績評価指標のことをいう。
下の図の黒色の数字は2014年の発表のもの。
茶色のものは2016年のもの。
開業率では多く、廃業率では少なくなっている。
ざっと見た感じでは[3.00%]以上の相違がみられる。
これは、いったいどうしたことだろう。
たぶん、2016年6月2日に閣議決定した「日本再興戦略2016」で、開業率10.0%を目指す、と公表した
「日本再興戦略」(平成25年6月14日閣議決定)において、「開業率が廃業率を上回る状態にし、開業率・廃業率が米国・英国レベル(10%台)になることを目指す」と掲げていることが影響しているのではないか。
・ 開業率 廃業率
・ 2014年 2016年 2014年 2016年
1996年 3.60% 4.7% 5.60% 2.5%
1997年 3.60% 4.2% 5.60% 2.8%
1998年 3.60% 3.9% 5.60% 3.1%
1999年 5.80% 4.4% 6.80% 4.0%
2000年 5.80% 4.9% 6.80% 4.0%
2001年 5.80% 4.4% 6.80% 4.4%
2002年 3.50% 4.1% 6.10% 4.6%
2003年 3.50% 4.0% 6.10% 4.8%
2004年 3.50% 4.1% 6.10% 4.5%
2005年 5.10% 4.4% 6.20% 4.4%
2006年 5.10% 4.8% 6.20% 4.3%
2007年 未発表 5.0% 未発表 4.4%
2008年 未発表 4.2% 未発表 4.5%
2009年 1.40% 4.7% 6.10% 4.7%
2010年 1.40% 4.5% 6.10% 4.1%
2011年 1.40% 4.5% 6.10% 3.9%
2012年 1.40% 4.6% 6.10% 3.8%
2013年 4.8% 4.0%
2014年 4.9% 3.7%
2015年 5.2% 3.8%
しかし、二十年以上続けているデータの算定基準を突然変えてもいいものだろうか。
見た目に、開業率が増え、廃業率が減っても、実態は変わってはいないのだから。
いま、わたしはこの変更をどうとらえていいか、指針を失って呆然としている。
【付記】 2019.10.6.
オフィス金融経済イニシアティブ代表の山本謙三さんの『山本謙三のコラム・オピニオン』の「なぜ政府は、実態を反映しない「開業率」データを使い続けるのか ~成長戦略KPIと統計データ」に的確な分析があったのでリンクさせていただきます。
山本さんによると、信頼のおけないデータソース(雇用保険年報の「新規事業所数」)を重視したためだと指摘され、さらに「一度掲げたKPIに固執し、良好な成果を印象付けるために、実態をあらわさない統計を使い続けているとすれば、これほど残念なことはないだろう。いつまで、このようなことが続けられるのだろうか」と記述されている。
どうか、参考にされたい。
中小企業庁(経済産業省)が発表している開業率と廃業率は、厚生労働省の「雇用保険事業年報」もデータソースのひとつとしてきたのだが、このデータが実に不正確なのだ。
雇用保険に入っていない企業はたくさんあり(特に建設業)、その入っていない企業に働きかけて入れるようにした(特に建設業)ため、以前から開業していた企業が雇用保険に入るとそれが開業率に直に反映されるようになった。
そのデータを全面的に採用したので、開業率は大きく改善されたのだという。
廃業率は、雇用保険の全喪失データが使われ、それは正確なはずなのだが、その廃業率も改竄されているのはどういうことだろう。
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