(根)抵当設定の自宅不動産はどうなるか
倒産に際して、根抵当権設定を行っていた自宅不動産はどのようになるか。
これは、ケースバイケース。こうなりますというような確定的な運用はないのですが、以下、例に従ってどうなるかを記します。
個別のケースについては、相談に来ていただけばどうなるかはお話しできます。
【設定】
自宅不動産は住宅ローン(3,500万円の根抵当権)が1,000万円残っている。
会社が経営者の自宅不動産に根抵当権(設定額は5,000万円)を設定し会社が取引している金融機関から3,000万円の融資を受けた。
会社の融資残高は2,500万円。
金融機関からの融資は一行だけでその他の借り入れはなかった。
自宅不動産の所有者(代表者)は上の二つに個人として連帯保証をしていた。
この不動産の現在の相場価格は2,500万円ほどだが、近隣では似たような物件が相場価格前後で売買されている。
【(根)抵当権の実行】
(根)抵当権者は、設定不動産を売却して融資額の回収する権利を持っているので、倒産後に住宅ローン会社と、会社に融資している金融機関は根抵当権を実行する。
具体的な方法は、買い手を探してきて売却する[任意売却]か、地方裁判所に持ち込んで[競売]にするかのどちらかとなる。
どちらが高く売れるかによって方法は決められるものだ。
任意売却の場合は、所有権者の同意を得る必要があるので、確認が求められるがそれ以上で買ってくれるところを探してくる以外に拒否する余地はない。
競売の場合には、拒否できない。
【任意売却】
金融機関が相場価格の2,500万円で買い手を探してきたので、任意売却に同意せよと言ってきた。
この場合それ以上で買う者がいればおおよそ金融機関はそれに同意して売却が完了するので、買い戻すためには、それ以上の価格で買う者を紹介すれば、買い戻すことはできる。
倒産者(破産者)は買い戻すことはできない。近しい親族もできないことが多いので、遠い親戚や友人知人に買ってもらうのが一般的だ。
【競売】
任意売却で売れない場合には競売になる。
競売は裁判所の手続きなので、根抵当権者である金融機関が地方裁判所に持ち込んで競売となる。
そうなると、執行官がその不動産を見に来て官報などで競売の公示が行われ、入札になる。
競売の最低入札価格は、市価のおおよそ七掛けと言われているので、任意売却よりも安くなるのが一般的だ。
このケースでは市場価格が2,500万円であれば、競売価格は1,750万円ほどになると思われる。
ここで、上で述べたと同様に遠い親戚や友人に競売に参加してもらえば、任意売却よりも安く買い戻すことはできるが、入札金額によっては競落できないこともあり得る。
【売却の実行】
2,500万円で任意売却が行われたとする。
【売却の実行後の残債】
もともとの債務は、[住宅ローン]は1,000万円、[会社の借入れ]が2,500万円だった。
2,500万円で売れたのであれば、一番抵当に入っていた住宅ローン会社が1,000万円取って、二番抵当の会社への融資金融機関が残金の1,500万円取ると、会社への融資会社の残債が1,000万円残る。
この残債の1,000万円は代表者が連帯保証していたので、代表者個人の債務となる。
代表者が破産すれば、返済の義務から解放されるが、破産しないと代表者の財産や収入が差し押さえされたり、請求を受け続けることになる。
【高く売れた場合は】
仮に、5,000万円で売れた場合は、残債の1,000万円と2,500万円を返済した残りの1,500万円は不動産所有者に戻ってくる。
ただし破産の手続き中だったりすれば、破産管財人の管理下になることはいうまでもない。
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