倒産の実態○M&A詐欺が横行しはじめているらしい
先日、不思議な相談があった。
ある会社から「その会社を買い取りたいのだが、売る気はあるか」という打診があったというのだ。
地方都市で羽振りのいい会社が東京に拠点を設けたい、というのが理由だった。
この案件は、業種など詳細は記せない。
仲介者は紹介を受けた経営コンサルタントだった。
その会社はここ三期利益が出せずに、粉飾決算をしてかろうじて利益を出しているように見せかけている。
このような、利益が出せずかつ会社に資産がない会社を査定すると、売値は出ないものだ。
つまり、タダ。
売りたくても値段のつかない会社。
わたしが、迷うことなく売却することだ、と勧めたことは言うまでもない。
なぜならば、この会社を終わらせるためには、会社に財産がないので代表者の個人財産をつぎ込んでも(根抵当権がついているから拒めるわけもないのだが)、借入債務ばかりではなく買掛の債務も残ってしまう。
すなわちたくさんの被害者が出る倒産である。
それを買いにきたのであれば、いくらでもいいから売ってしまえ。
その上でしばらく働かせてもらい、キリのいいところで辞めて次の道を探すことが最も都合がいい。
わたしはそう進言した。
その後そのコンサルタントが、買い取りたいという会社(北のほうにあるという)を訪ねよう、ついては今までの活動費やら何やらで数百万円出してくれないか、といい出したという。
売る方が、買っていただくために金を払うというのは、どう考えてもありえない話ではないか。
「これは、詐欺だ」と思ったので、すぐに手を引くようにアドバイスした。
買われようとした会社は、この間価値のないものを買いにきたというので、早く売ってしまおうと取らぬ狸の皮算用。
夢のような時間をすごしていたものだという。
しかし、一転持ち出しになるという。
その瞬間、この会社の社長は金を捻出しようとしたらしい。
しかし、他の役員たちが反対し、わたしのアドバイスもあったのでこの話は立ち消えになった。
中小零細企業の経営者諸君、どうか、このような詐欺に合われんことを祈る。
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