経営危機とM&A
「経営危機になったので会社を買収してくれるところを探してもらえないか」という相談をよく受ける。
いわゆるM&Aである。
M&Aしたい、と考えている会社は確かにある。
しかし、それは自分の会社の業容を拡大するためにM&Aしたいのであって、なにがなんでも買いたいわけではない。
事業として採算性があり、会社としてもリスクを抱えていないことが前提になる。
例えば、5,000万円で会社を買うとしたら、毎年250万円の利益を上げられるのであれば、それは利回りが5%の計算になる。これが採算性。
しかし会社に債務があり、毎年250万円の利息支払い(や元金返済)があれば、上の5%の利回りを相殺することになる。
また売上の安定性や社員の流動性、事業そのものの将来性などもリスク要因となる。
もちろん、会社の財産状態も厳密に査定しなければならない。
経営危機状態にある会社は、採算性も悪くリスクも大きいのが常だ。
そのような会社を買収してもらえることは、ほぼ皆無なのだ。
にもかかわらずM&Aに望みを託す会社は多いものだが、その買い先を探す過程で会社の状態はどんどん悪化して行く。
その挙句に倒産しかないと相談に来られる方は多い。
そもそも、事業に採算性がありリスクが少ないのであれば後継者を探して、事業を譲渡するほうがいい。
会社をモノとして売却しようとする方がおかしいと思う。
M&Aが成立する場合は、採算性があり、債務超過が少なく、将来性があるにもかかわらず後継者がいない、あるいは経営者が事業意欲を喪失しているようなケースが多い。
一方で、M&Aを装う詐欺もある。
経営者がM&Aを考えるようになっている場合は、そうとうに弱気になっていることだ。
どうか慎重にご自分の会社の状態を見極めることをお忘れなく。
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