このごろの依頼人の傾向 ② 設備投資型小規模零細企業が多くなってきた

事業の初期投資に一定程度以上の投資金額が必要となる、設備投資型の小規模零細企業の経営危機相談がここしばらくの間に急に多くなってきたように思う。
これらの傾向はもちろんいままでにもあることはあったのだが、ここ一~二年の間に急に多くなったように思う。

すなわち、小規模零細のガソリンスタンド、製造業、ホテル旅館業、など。

いままでで多かったのは、建設業、建築業、飲食業、販売業、流通業、そしていわゆるサービス業、などだが、これらは例外はあるが小資本で起業できるし、外注や下請けの依存率を高めれば大きな投資をしなくても開業できる。
しかし、一方に設備投資をしなければ事業として成立しない職種、つまり設備投資型事業もある。

例を挙げると、この頃ニュースになっているガソリンスタンドがそれだ。
地下などにタンクを設置しなければガソリンスタンドの事業はできないが、そのタンクの改修義務が40年に決まったことで廃業が多くなったというニュースだ。

同様に、小規模零細の製造業は製造機械が必要になるし、ホテル旅館業はその建物が必要になる。
これらの、設備投資型の小規模零細企業の経営危機相談がこのところ目立って多くなってきているのだ。

この多くは、設備投資の回収が完了しないうちに経営危機が訪れているということだ。
つまり、初期投資のローンの支払いが完了する前に、資金不足に陥っている。

原因は、業態によって大きく異なる。
ガソリンスタンドは、新たな設備投資が必要になったこと。製造業は中国や東南アジアに製造拠点が移行している大きな流れと無縁でいることは少ない。ホテル旅館業はこれも震災以降の中国や韓国からの観光客の減少が大きく影響している。

もちろん、その背景には長期にわたるデフレ現象があることは否めない。
わたしが見る限り、一般的な消費は恐ろしいほどに減少していて、回復の兆しは全く見えてこない。

このような設備投資型小規模零細企業は、その投資金額が大きいためいちど資金不足に陥ると、その資金繰りは事業運営に大きな負担になってくる。

こうした傾向を色濃くもった経営相談は、事業を継続するためには〝資金問題〝だけがキーとなってしまい、アドバイスのしようがないことが多い。
すなわち、金融機関との交渉がすべてで、金融機関が資金面の協力をしなくなれば、その事業の継続はそこで止まってしまうのだ。

協力してくれると信じていた金融機関に引導を渡された経営者に、かける言葉はない。

このような時、わたしは経営者個人の財産を守り、次のステップにうまく移行できるような道を一緒に探るお手伝いしかできないことが多い。
 

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