[銀行取引停止処分]に関する正しい知識

経営危機コンサルタント・内藤明亜のブログです。

不渡り手形を出すと「銀行取引停止処分」になると言われています。
この取引処分内容についても正しく知っておきましょう。

※ 以下、[銀行]という用語は一般的な預金を預かる金融機関(信用金庫、信用組合、農協など)を指します。

「銀行取引停止処分」とは

「銀行取引停止処分」は、「不渡処分」「取引停止処分」とも言います。

不渡り手形を出すると、銀行から取引を停止されるのですが、
正確には
[当座預金口座の取引停止処分]
であって、
「普通預金口座」
の取引は停止されません。

[銀行(とのすべての)取引停止処分]というニュアンスで言葉が流通しているのは、
銀行にとって都合がいいからかもしれません。

契約上は、普通預金口座が閉鎖されることはありません(当事者が了解すれば閉鎖されることはありえますが)。
ですが、後述のような不具合が発生します。

 

当座預金口座を閉鎖された場合

その段階で振り出している約束手形や小切手は残高があっても決済されません。
当座預金口座への入金もすることはできなくなります。

 

普通預金口座は閉鎖されないが引き出せなくなる

振り込みがあれば入金されます。
ただし、ほとんどのケースで引き出しができないよう銀行が処理をします。
入金分を銀行が押さえてしまうのですが、銀行から借入などの債務があるためで、約定に記されていると思われます。

しかも、銀行側は経営者に通告することなく実行するため、トラブルになることもよくあります

経営者は、最後の振込入金を給与(労働債権)に充てようと考えていたのに、銀行の借入債務に取られてしまうからです。(ちなみに、労働債権は金融債権よりも優先債権です)

この処置は、どうみてもアンフェアに思えます。

[(すべての)銀行取引停止処分]と言うニュアンスで
言葉が流布しているのをいいことに、
その正確な契約内容(運用内容)を教えることなく、
不渡り等が起こると当座預金口座を閉鎖。
普通預金口座は、入金を受け付けながら引き出しできないようにして、自行の債権の回収を最優先させているわけですから。

いずれにせよ、当座預金口座はもちろん、普通預金口座も
自社の支払いのためには使用できなくなるのですから、
不渡りを出しそうだという時は要注意です。

大至急、処置が必要な段階です。

 

(初出:2012年11月30日 修正:2021年1月27日)

 

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