倒産処理費用。最新情報
本記事は内藤が執筆しています。

「会社をつくるのはかんたんだが、終わらせるのはタイヘンだ」とは、よく聞く言葉です。
弁護士に委任するとその費用もかなり掛かります。
それはどういうことなのでしょうか。
会社を終わらせるというのは、会社のなした「契約」、「約束ごと」をすべて解除することです。
倒産で終わる場合は、多くの債務を抱えていることがほとんどで、それを当事者が解除するというのは、そうとうのストレスを抱えこむことになるため、できることではありません。だから、弁護士に委任することになるのが一般的です。
では、どのような債務があるのでしょうか。
【債務の種類】
① 税金、社会保険
①-1 会社の払うべき税金の未納分
・法人税(国税) 法人の所得に対し、課税される税金。
・復興特別法人税(国税) 平成23年に公布され東日本大震災からの復興の財源のための税金。
・法人住民税(都道府県税、市区町村税)
・法人事業税(都道府県税)
・消費税(国税)
・印紙税(国税)
・登録免許税(国税)
これらは優先債権なので、差押えの対象になるものです。
①-2 社員の払うべき税金(所得税や住民税)の預り金の未納付分
・所得税預り金
・住民税預り金
・社会保険料預り(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料)
② 労働債権
②-1 社員の給与や退職金など。
これらは優先債権なので、社員が動けば会社の財産(銀行口座や売掛金)が差押えの対象になるものです。
このうち未払賃金(給与)に関しては、会社の財産ではまかなえない場合には、[労働者健康安全機構]による立替払い制度があります。
②-2 解雇予告手当
会社が倒産する場合、社員は予告手当をもらう権利があります。過去三か月分の平均の一か月分。
ただしこれは、未払い賃金ではないので、[労働者健康安全機構]による立替払い制度の対象外となります。
以上①②③は優先債権として、破綻会社の財産から(差押えなどの手続きにより)優先的に支払われることになっています。
③ 借入債務
③-1 金融債務
金融機関からの借入金(融資金)。
③-2 ヤミ金(市中金融など)からの借入金
③-3 恩借(家族、友人、知人)など、私的な借り入れ
④ 買掛金
商取引の、仕入れ、外注費、未払い分。
⑤ ローン
⑥ リース
⑦ 賃借料
事業所や店舗などの賃借料は、[保証金]が差入れてある場合が多くその範囲で相殺されることが多いが、賃貸借時の状態に原状回復が条件となっている場合は、その費用が発生する場合が多いものです。
⑧ 一般管理費系の未払い分
光熱水費、など。
廃業にあたってこれらの債務がひとつもなければ、それは被害者を出す[倒産]ではなく、[清算]となります。
わたしは、経営危機コンサルタントとして1,000社以上の相談に対応してきましたが、これらのすべての債務のあった倒産者は何件もありました。
※ 詳しくは以下のページを参照してください。
『倒産の債務(債権者)』
【債務の処理】
これらの債権者に対して、すべて連絡を取り、契約書があればそれを確認し、抵当権や連帯保証人があればその確認をし、「破産処理をするので支払い(返済)はできない旨を伝えます。
事業形態やケースによってはその数は相当なものになるものです。100件を超えるケースもありました。
承知していただけない債権者もいらっしゃいます。そうした債権者のすべてと話し合い了解していただくという作業は、当事者ではとうていできないものなので、弁護士に委任することになります。
よって、弁護士の費用は安くはないということになるのです。
また、これらの作業が終わっていないと「少額管財」の対象とならなくなるケースもあるので、おろそかにはできない作業領域なのです。
弁護士の領域はこれ以外にも、
・「破産申立書」の作成。
・任命された「破産管財人」からの質問に対する回答。
・裁判所からの質問に対する回答。
など、かなり多岐にわたるものです。
ウエブに氾濫している費用の安い弁護士は、これらの作業がおぼつかない弁護士が多いもので、結果として高くつくか、いやな思いをさせられることが多いと、引っかかった依頼人から何回かうかがったことがります。
当事務所では、こうした作業に習熟した弁護士の先生方を確保してありますので、今まで費用の件を含めてトラブルになったことはありません。ご心配の方は、どうぞ相談してください。
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