100の倒産あれば、100の決着がある 【改定】
いままで1000件以上の倒産処理のお手伝いをしてきたが、どれとして同じ倒産の決着はなかった。
負債総額が違うといえばそれまでだが、依頼人の債務環境や財産環境によってもその処理は大きく変わってくるのだ。
例えば、金融機関からの借入債務にしても、債務保証の形は以下のような違いがある。
① 金融機関からの借入債務
・代表者保有の不動産に(根)抵当権あり
・代表者以外の方所有の不動産に(根)抵当権あり
・代表者の連帯保証あり
・第三者の連帯保証(複数名)あり
②金融機関からの借入債務
・代表者保有の不動産に(根)抵当権あり
・代表者以外の方所有の不動産に(根)抵当権あり
・代表者の連帯保証あり
・第三者の連帯保証(単数)あり
③金融機関からの借入債務
・代表者保有の不動産に(根)抵当権あり
・代表者の連帯保証あり
・第三者の連帯保証あり
④金融機関からの借入債務
・代表者保有の不動産に(根)抵当権あり
・代表者の連帯保証あり
⑤金融機関からの借入債務
・代表者保有の不動産に(根)抵当権あり
⑥金融機関からの借入債務
・代表者の連帯保証のみ
⑦金融機関からの借入債務
・代表者以外の連帯保証のみ
⑧金融機関からの借入債務
・一切の抵当権や連帯保証なし
厳密にいえば、定期預金や保有株式、あるいは在庫商品や動産などに抵当権をつけられている場合もある。
このそれぞれによって処理が違ってくるのだ。
(根)抵当権のついた不動産についても、以下のような違いが出てくる。
①(根)抵当権のついた不動産
・複数の金融機関に(根)抵当権がつけられている
・金融機関以外の法人や個人に(根)抵当権がつけられている
②(根)抵当権のついた不動産
・単数の金融機関に(根)抵当権がつけられている
・金融機関以外の法人や個人に(根)抵当権がつけられている
③(根)抵当権のついた不動産
・単数の金融機関に(根)抵当権がつけられている
しかも、
・ローンが残っている(ローン残が少ない)
・ローンが残っている(オーバーローンになっている)
さらに、
・自宅不動産を買い戻したい(協力者がいる、資金はある)
・自宅不動産を買い戻したい(協力者がいない、資金がない)
また、さらに
・固定資産税の滞納がある
・固定資産税の滞納はない
またまた、さらに
・自宅不動産の所有権が家族数人になっている
・自宅不動産の所有権は代表者ひとり
などなど、の条件によって処理は天と地ほどの違いが生じてくる。
社員の労働債権にしてもそうだ。
①社員の労働債権
・退職金(規定がある)
・給与
・解雇予告手当
②社員の労働債権
・退職金(規定がない)
・給与
・解雇予告手当
③社員の労働債権
・退職金(規定はないが実績はある)
・給与
・解雇予告手当
④社員の労働債権
・退職金(規定もないし実績もない)
・給与(未払がある)
・解雇予告手当
⑤社員の労働債権
・給与(未払はない)
・解雇予告手当
さらに、
・労働債権は支払えない
・労働債権は支払える
・国の立替え払い制度にお願いする
また、さらに、
・支払資金はある
・事業停止後に入金になる売掛金で支払いたい
などなど、これらの条件の違いは運用の結果に大きく作用する。
事業停止時(Xディ)に会社に財産(現金など)がある場合も問題は大きい。
①会社にある財産が高額(例えば1,000万円)の場合
・個人的な借り入れの返済に充てていいか
・特定に買掛先に支払ってもいいか
・会社に貢献した社員に特別賞与を与えてもいいか
・それは偏頗弁済に当たらないか
・それは詐害行為に当たらないか
②事業停止時に売掛金がある場合
・それは支払いを受けられるのか
・会社(経営者)の意図通りの使途に充てられるのか
・裁判所の費用に充ててもいいのか
・弁護士の費用に充ててもいいのか
③会社に在庫が残った場合
・在庫は換金していいのか
・買掛先に返品してもいいのか
・在庫を社員に配ってもいいのか
④偏頗弁済(詐害行為)になるかならないかの分岐点は
・それは犯罪になるのかならないのか
・代表者の面積にかかわりがあるのかどうか
などなど。
挙げていけばきりがない。
しかも、こうした条件の違いによる運用の見極めは、倒産の当事者のダメージをいかに軽減するかを考えると、さらに複雑になる。
さらに、最終的には破産管財人次第の要素もある。
倒産処理はことほどさように千差万別なのだ。
倒産を目前にしてネット上の情報を集めても、そこにあるのは一般論であって、当事者がこうむるであろう実態はなかなか手には入らないと思っていただきたい。
弁護士は初対面の依頼者だと、基本的には裁判所の設定した通りの高いハードルの運用に従う傾向にある。
すなわち、ほとんどの弁護士は依頼人の利益のためにいろいろとは考えてはくれないものだ、ということも知っておいていただきたい。
弁護士にとっては、地裁に[破産申立て]をするというお仕事である場合がほとんどなのだ。
しかし、当事務所でお願いしている弁護士たちは、依頼人の利益を最大化するように配慮をしてくれる、数少ない弁護士たちなのだ。
わたしは、
・依頼人のダメージをいかに少なくするか
・再起しやすい倒産処理を最優先に考える
・倒産の当事者に寄り添えるような(申立て代理人の)弁護士を探す
などを考えたアドバイスをするようにしている。
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