倒産に至るプロセス(過程)、フロー
800件を超える経営危機相談を経て、わたしは倒産に至るプロセスは以下のようになると捉えている。
[第一ステップ] 【経営不安】 回 復 可 能 状 態
↓ ↑ ↓ ↑
[第二ステップ] 【経営危機】 不安定経営危機状態
↓ ↓
[第三ステップ] 【倒産状態】 回 復 不 能 状 態
下から、毎年、廃業していく会社が約6%。これが第三ステップの回復不能状態。
利益が上げられずに納税ができていない欠損法人が約70%。
これが第二ステップの不安定経営危機状態。
そこにある経営危機の状態から脱することができれば、第一ステップの回復状態に戻れるが、脱しきれなければ第三ステップの回復不能状態に陥落してしまう。
量で見るとこうなる。 [法人数の合計は300万社と想定]
[第一ステップ] 【経営不安】 回 復 可 能 状 態 24%/300万社= 72万社
※ この数字は、下の欠損法人と廃業企業以外に匹敵している。
[第二ステップ] 【経営危機】 不安定経営危機状態 70%/300万社=210万社
※ この数字は、欠損法人(全企業数の66%)に匹敵している。
[第三ステップ] 【倒産状態】 回 復 不 能 状 態 6%/300万社= 18万社
※ この数字は、廃業率(全企業数の6%)に匹敵している。
問題は、第二ステップの〝不安定経営危機状態〝だ。
この段階に発生する問題は、売上げの減少や一般管理費の増加などの変化、事業モデル(市場特性、流通特性、消費者特性、など)の変化、雇用、人材問題や、資金繰り問題など、多岐にわたる。
大きく分けると[シクミ][ヒト][カネ]が要因となる。
ここに至ったら、その原因([シクミ][ヒト][カネ])を探り出し徹底的な体質改善をして第一ステップの回復可能状態に復帰しなければならないが、中途半端に回復できるといわれのない自信がつき、次に陥った不安定経営危機状態をなめてかかり、一気に回復不能状態に陥ることがよくある。このパターンが実に実によく起こる。
また【絶対に倒産しない(倒産させない)方法はあるか?】でも触れたが、突然の電話で大きな発注がある、とか、今まで売れなかったものが突然売れだす、とかの〝夢想〝に賭けたくなるものだ。
論理的にはありえないことではないが、今までそれがなかったために経営危機に陥っていたのではないか。それが突然起こるというのは、あり得ないことと思ったほうがいい。
個別の不安定経営危機状態の原因と、その徹底的な体質改善についてはここでは触れないが(どうか信頼できる方に相談に乗っていただきたいのだが)、このようなフローで倒産が多く起きていることをご理解いただきたい。
中小零細企業は常に〝不安定経営危機状態〝にあると認識し、何が原因となっているかを見定める視点を持ち、常に根源的な体質改善を心がけなければならない、ということだ。
さらに申し上げれば、倒産には【切迫倒産】と【予知倒産】という二つのパターンがある。
【切迫倒産】とは
倒産とは、債権者を残して事業を停止すること。
その倒産に際して、
・事業停止まで時間が切迫していて
・処理費用もなく
・倒産後の次のステップへの準備もできていない
ような状態を【切迫倒産】と呼ぶ。
【予知倒産】とは
倒産とは、債権者を残して事業を停止すること。
その倒産に際して、
・事業停止まで時間的に余裕があり
・処理費用もある程度あり
・倒産後の次のステップへの準備もできている
ような状態を【予知倒産】と呼ぶ。
[【切迫倒産】と【予知倒産】倒産の二つの様相] を参照されたい。
おなじ、[第三ステップ] 【倒産状態】 回復不能状態 に至るにしても、余裕をもった【予知倒産】でなければ、その処理が困難になりさらに再起も困難になることを心していただきたい。
いまや、事業経営は(特に中小零細企業の事業経営は)大変難しい領域に入ってきたと思う。
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