法人の破産・管財事件とは <二> 弁護士
倒産処理は、[放置逃亡]を除くと[法的処理]か[私的処理(任意整理)]になる。
その、それぞれの弁護士費用のガイドラインとして以下を参考にしていただきたい。
◆[法的処理]の弁護士費用
[法的処理]とは[法人の破産]を地方裁判所に申し立てることで、これには[予納金]の納付が避けられない。
それに加えて申立て代理人である[弁護士費用]が欠かせない。
それが[少額管財]であろうとなかろうと、弁護士費用は影響されない。
法的処理の弁護士費用を設定する要因は、上の私的整理(任意整理)と同様に案件ごとの規模と、法的処理ならではの対応領域によって変動する。
・倒産(法人の破産)の運用にはステップが三つある。
すなわち[事業停止(債権者への連絡)]、[弁護士介入]、[地裁への申立て]である。
これらのどの部分を担務するかによって費用は大幅に違ってくるのである。
①申立て代理人として、地裁に申立てだけを行う
これは、事業停止後に弁護士介入通知を債権者に出し、当事者から資料の提出を求め地裁に申し立てを行うまでで、もっとも簡易な領域となる。
30万円程度の安い値段で請負う広告を出しているような弁護士はこの範囲だと思っていいだろう。
②申立て前に売掛金の回収や債権者との交渉を行い、さらに地裁に申し立てを行う
事業停止後に、会社に不動産などの売却(換金)できる財産や回収可能な売掛金があり、かつまた金融機関や買掛先などの金融機関との交渉の必要性がある場合に、申立て前にそれらの作業を行い、当事者に有利にはたらくような領域に対応してくれることになる。
これは[申立て前処理]と呼び、倒産処理のキャリアがなければ到底できないことで、①よりもはるかに難易度は高くなるため、弁護士の30人にひとりもできないだろう。
この領域の弁護士費用は、その規模(負債総額、債権者数、など)によって変動するので、150万円以上はかかるだろう、としか言いようがない。
5年ほど前までは100万円が最低基準だったようだが、ここ数年で少々高くなった。
有能な弁護士は、回収した売掛金を予納金や弁護士費用に充てたりしてくれるので、結果的には当事者の負担が少なくなることが多い。
③事業停止の前から対応し、申立て前処理を行い、さらに地裁に申し立てを行う
これは、②の前の段階から対応してくれるケースである。
会社に最も資金がある時期に事業を停止し、その資金をいかに有効に使うかを指導してくれる。
この弁護士費用は②に準する。おおよそ150万円以上。
・少額管財と弁護士費用
地方都市の倒産案件で、その地裁が少額管財を採用していないケースでは、東京地裁に申立てすることがある。
すべてが対象になるわけではないが、その可能性の限界まで推し進めてくれる弁護士は、依頼人の利益を最優先してくれるので、有能だと思う。
小規模零細企業の倒産処理は、低費用だし簡易に進められるので[少額管財]が望ましい。
もし、弁護士に相談に行って少額管財は難しいと言われたら、直ちに次の弁護士を探すか、当事務所に相談に来ていただきたい。
※少額管財については『法人の破産において 少額管財を実現する要件と少額管財のメリット』を参照されたい。
※申立て代理人の弁護士を探したい方は[弁護士(申立て代理人)の紹介]を参照されたい。
・着手金と成功報酬
倒産の案件は、そのほとんどが依頼人の財産がすべてなくなるのであるから、[成功報酬]を求めるのはおかしいとわたしは思っている。
よって、成功報酬を設定している弁護士は避けるべきである。
※ このエントリーは、「倒産の費用(弁護士費用)」というタイトルで2013年9月19日に作成したものだが、より判りやすくするためにタイトルも改め、2014年4月2日に修正した。
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