商工ローン(ヤミ金)は、いま…
利息制限法と出資法が改正され、2010年に完全施行されてから、商工ローンやヤミ金は表立っての活動はほとんど見かけなくなった。
この改正で、年率20%以上の金利をとると刑事罰の対象になることになったためだ。
それまでは、
・ヤミ金はトイチ(十日で一割)
・商工ローンも年率30~50%
・サラ金も年率30%前後
・一般的なクレジットカードも年率20%以上
という、今から見れば信じられない水準で営業していた。
そのツケが[過払い利息返還請求]という形で逆襲されているわけだ。
それでは、ヤミ金や商工ローンはなくなったのか、というと同様の利息水準で営業しているところは、まだある。
どっこい、生きている、というところだ。
利息制限法に違反する年率20%以上の利率を表示して、表立った活動をすることはできない。
営業形態は、ネットやDMやFAXによるDMなどで誘いかけてくる。
問い合わせると、
・利息制限法以内での融資だという。
・実際には[小切手]か[手形]が行使できることと条件づけてくる。
融資の実行時を必要なぎりぎりまで引っ張る。
・25日の給与資金だったら、25日に。
・手形の支払資金(決済資金)だったら、その手形の決済日に。
・月末の支払資金だったら、月末に。
その融資の実行日に難癖をつけてくることだ。
・厳密に審査した結果、信用不安があるので融資できない。
・リスクが高すぎるので、利息制限法以内での融資はできない。
・ただし、利率を高くしてくれれば、融資には応じる。
・小切手か手形が預かれることは条件。
のように、断れないぎりぎりで、言いなりにならざるを得ない環境まで引っ張られる。
そのうえで、より条件がきつくなる。
・代表者に不動産があれば、契約違反をしたらその不動産に抵当権を付けてもよいという許諾書にサインさせる。
・もちろん、代表者の連帯保証をとる。
・売掛先の売掛金の譲渡書にもサインさせられる。
・預入小切手(手形)の金額を融資額の二倍にする。
このような条件のもとでの融資だと、それが利息制限法に抵触するから、といって警察に駆け込んだとしても、預け入れてある小切手(手形)は確実に不渡りにされる。
さらに売掛先には渡した書類を持って回収に行かれ、下位の抵当権とはいえ、自宅不動産には抵当権が付き、個人として連帯保証をしているので、個人財産も差し押さえられる。
このような恐怖を与えることができるため、警察に駆け込む勇気を封じることができる。
それはそうだろう、もし不渡りを出した後でも事業の継続が可能だったとしても。
・一度不渡りを出した会社
・売掛先にヤミ金業者が売掛金を回収に行った
・自宅不動産にヤミ金業者の(根)抵当権がつけられた
という環境の中で、今までと同じ事業を続けることができるか。
100%できなくなる。
振り出した手形(小切手)がいかに違法な金利を含んでいるからと言って、支払い拒否をするにはその金額と同じだけの供託金を積まなければ不渡りは回避できない。
このような金融屋に手を出すくらいだから、供託金のあろうはずもなく、そのような相談を何回か受けたことはあるが、支払い拒否に成功したことはない。
ここに書いたことは、最近ある依頼人からうかがった事実だ。
実をいうとわたしにも、似たような経験がある。
わたしからのアドバイスは、ここにあるようなアウトローのヤミ金や商工ローン業者のような金融屋に手を出してはいけない、ということだ。
もし、どうしても資金に困ったとしても、先に資金回収や調達の可能性が100%あったとしても、絶対に使っていはいけない。
そのような、瞬間的な資金ショートに陥った場合には、
・支払手形であれば、振り出した先に相談して先延ばししてもらう
・給与であれば、役員や社員に打ち明けて待ってもらう
・支払資金(決済資金)であれば、買掛先に相談してこれも先延ばしにしてもらう
のような対応を試みていただきたい。
ヤツラ(ヤミ金、商工ローン業者)とは絶対に付き合わないことだ。
一瞬たりともヤツラを使おうか、などとは考えないことだ。
これは、小規模零細企業経営者の最低の鉄則であると心していただきたい。
もし万が一、そのような泥沼に陥っている方がいたら、ぜひとも一刻も早く当事務所に相談に来ていただきたいと思う。
有能な弁護士を雇ってそこを突き抜けなければ、事業経営者の明日はない。
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