違法事業と納税

やや北西の半島にある国から、〝パチモン〝と呼ばれるブランド品のイミテーションを仕入れて販売している会社から経営危機相談を受けたことがある。

店舗はなく、雑誌に広告を出して受注する通信販売と、ネット・オークションだけで販売していた。
地方都市にあった会社は、マンションの一室で、きちんと仕分けされた棚にはパチモン商品がたくさん並び、一隅には簡易な撮影スタジオがセットされていた。

社員はいない。学生のアルバイトが常に2~3人いるだけの、殺伐とした会社だった。
ネット・オークションには廉価で出品し、想定していた価格より入札価格が上がらないと深夜に設定した締め切り時間に、別のIDで入札して低価格落札を妨げることをアルバイトたちが黙々とやっていた。

この会社は、一時は利益を上げていたが、競合が多くなって販売価格が下がり、事業経営のうまみがなくなっていた。
もちろん、この会社は破綻していたので、法人の破産処理をした。

おうかがいした興味深い話はたくさんあったが、税務署との攻防にはびっくりした。
この手の通販では料金回収がポイントになるそうで、事前振込が望ましいのだが運送業者に料金回収を委託する、代引きという方法での回収も欠かせないという。

ところが、代引きをするとなぜか税務署に知られてしまう(誰が告げるのか…)らしい。
そしてある日突然税務署がやってきて課税を告げるというのだ。

そのときに社長は、これはもともと違法な商品を扱う非合法の仕事で、すぐにやめると言ったのだそうだ。
ところが税務署員は、非合法であれなんであれ、利益を上げているのであれば納税するのは当たり前のことだ、と言い放ったという。

非合法であっても、利益を上げていれば、徴税は当たり前だ。

これは[絶対]だそうだ。納税は国民の義務である、と。
賭博で捕まった[や]の字のつくある業界人もそうだったと聞いたことがあるし、覚醒剤やマリファナなどの販売で捕まったケースでもしっかりと徴税される、とのこと。
払えなければ、当然のことながら差押さえが待っている。
※ この話はある弁護士から聞いた。

国家に勝る強欲な人たちはいない、ということなのか。
 

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