破産管財人が決まらない。
東京地裁ではあり得ないことだが、地方都市の地方裁判所ではまれに聞くことがある。
「破産管財人が決まらない」、とはどういうことか。
倒産する当事者が申立て代理人(弁護士)を雇って、[破産申立て書式]を整え地方裁判所に[法人の破産]を申立てると、地裁はしかるべき[破産管財人(弁護士)]を決めて[破産決定(破産宣告)]を出すことになっている。
にもかかわらず、破産管財人が決まらないということはその地裁傘下に、破産管財人に適した弁護士がいないということだろう。
理由は、弁護士数が少ないか、そうでなければおおよそ[利益相反]と考えられる。
倒産する会社と利益が相反する弁護士は破産管財人になれないのだ。
例えば、倒産する会社の債権者に地元の金融機関があれば、その金融機関の顧問をやっている弁護士は利益が相反するので、破産管財人にはなれない。
あるいは、破産管財人を受けてくれる弁護士がいないかだろう。
地裁から弁護士に破産管財人を打診されても、費用で折合わないので受けたくないということが起こり得るのだ。
特に[少額管財]の場合には、その地裁の規定の(例えば20万円)費用では受けられないので「30万円(あるいは50万円)なら受ける」と言われて増額するようなケースが、地裁によっては起こるのだ。
東京地裁ではあり得ないと書いたのは、東京地裁傘下の弁護士の数はたいへん多いからで、地方都市では弁護士数がとても少ないところがあるのだ。
法務省発表による地方裁判所支部管内別弁護士数によると、弁護士数が一名の支部は一か所、弁護士数が二名の支部は二十二か所もある。
日弁連調べ(弁護士数は平成25年4月1日時点)
では、「破産管財人が決まらない」ときはどうしたらよいか。
破産管財人が決まらないということは[破産決定]が出ていないこと。すなわち破産申立てが[受理]されていないということだ。
であれば、破産申し立てを取り下げればよい。
そのうえで、受理していただける地裁に改めて申し立てることだ。
以下の条件が満たされていれば、東京地裁は受理することだろう。
その条件は以下の二つ。
[一]申立て会社の本店所在地が東京であるか、代表者の居住地が東京であること。
・この条件があるために本店所在地の東京への移転登記を行ったり、代表者の住民票を東京に移したりすることがある。
[二]債権者にその地方の事業者が多く含まれていないこと。
・これは債権者集会は東京で開かれるので、そのために上京させるリスクを事業者に負わせないようにする配慮と思われる。
・とくに[個人事業者]が多く含まれていると適用されないで、「その地方裁判所で申し立てしなさい」と指導されるようである。
・そうならないためには、[申立て前処理]でその地方の個人事業者への支払いを完了しておく必要がある。
東京地裁なら、小規模零細企業の法人の破産申し立てであればほぼ間違いなく、[少額管財]が適用されることだろう。
これ以上のことは、当事務所に相談に来ていただければ、詳しく説明します。
※ このエントリーは、2012年12月2日に作成したものだが、正確を期するために2019年4月29日に二度目の修正を行った。
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