事業経営の本義。”経営危機”コンサルタントの視点

先に、[経済的な成功を事業の醍醐味(目的)とするのは、それは誤りではないか]と書いた。
誤解を招きそうなので、少し補っておく。

わたしは、利益を出さなければ(出せなければ)事業経営をする意味はないと考えている。
経営コンサルタントとして、わたしが顧問をしている契約先に対応するときは、必ず利益が出せるように最大の配慮を払っている。

ただし、その利益を〝無限拡大〝させることには大いに疑問を持っている。

と言って、その可能性が、まったくないとは思っていない。
先駆者利益に与れるような機会である。
ときに、そのような商品やサービスに遭遇することはあり得るとは思っている。事実、今までに一例だけ経験したことがある。

経営危機コンサルタントとしてのわたしがこころがけているところは、当該事業が勢いを失って停滞しはじめたところを見極めることである。
この考え方の正反対にあるものが、当該事業の価値を正当に評価することなく、やみくもに事業の拡大再生産をはかることだ。

前者の考え方が、事業推進の障壁になると指摘するむきもあろうが、これはそういう視点(危機管理意識)を持つこと重要性を言っているのだ。

逆に、後者はそのままうまく展開できればいいのだが、わたしが見ている限り、この意識こそが事業運営の障害になるものなのだ。
すなわち、倒産する事業経営者の多くが、この先にある隘路にはまるのである。

それではどのような方向がもっとも望ましいと考えているか。
わたしは〝背丈ほどの規模〝という言葉をよく使う。
決して〝背伸び〝をしない。無理をしない。
そこそこ〝のところを目指す。

理想は〝ごく緩やかな拡大再生産〝であることは言うまでもない。

現実は〝必要最小限〝の事業規模を維持すること。
で、それに少しでも陰りが見えたら直ちに軌道修正をする。

とくに、経済の停滞期にある今のような時代にあっては、これに尽きる。

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