倒産と社員の税金
会社が倒産した場合の社員の税金はどうなるか。
①所得税
会社の会計処理としては、社員の[所得税]は社員の給与から(暫定的な金額が)差引かれ、一時会社の預かり金として処理され、会社が納付することになっている。最終的な年間所得税額は、[年末調整]で調整されるの一般的な処理である。
だが、倒産するとその直前の数か月分が納付されずに会社に預かられたままになってしまう場合がほとんどである。
こうした場合、その未納部分は預かり金処理した会社に納付義務があるのだが、会社はなくなってしまうので納付できない。
法人の破産処理をした場合で、売掛金を回収したりして、配当原資ができた場合には優先債権なので納付(というか、徴収)されることもあり得るが、稀なことだ。
その社員は納税証明を取るとその会社の預かり金分は納付されていない状態になっている。
納税証明が必要になる場合は、その空白部分を新たに(重複して)納税しなければならなくなることもある。
次に就業した会社で年末調整するか、自分で確定申告しなければならない。
その空白部分については、その社員が追徴されるようなことがないのが一般的だ。
では、会社はどうなるか
会社は倒産するとなくなってしまうので、支払うべき主体である会社がなくなってしまうので納付できないで終わってしまう。
社員は天引きされただけで納付されないので損することになる。
国も徴収できないので損することになる。
会社は預かり金のまま納付できずに終わる。これは得したことになるのだろうか。
②地方税(住民税)
地方税も上の[所得税]と基本的には同様である。
ただ、地方税の場合は、納付を要求してくる地方自治体はあるようである。地方自治体による違いがあるが、納付を要求する地方自治体は多くなっている。
確かに納付はされていないのだから、行政サービスを受けるには自治体が要求してくるのはわかるが、社員にしてみれば納得のいかないことだろう。
といって、会社はなくなっているので会社に請求はできない。
会社の代表者(代表取締役)がいたとしても、その責任を取るいわれもない。
納得のいかないことだが、致し方ないことだと言わざるを得ない。
(初出:2013年1月22日、修正:2021年7月14日、最終修正:2024年7月8日)
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