経営者の個人破産だけはできるのか

法人(会社)の破綻処理は放置して、経営者個人の破産だけはできるのか。
この問い合わせは多い。

しかし、原則的にはできない。

破産申し立てに際しては、[債務一覧]の提出が避けられない。
その債務に会社の連帯保証分が記載されていれば、法人の経営者であることが判ってしまうので、地裁から「会社と一緒に申し立てなさい」と言われてしまう。

もし、会社の連帯債務を債務一覧に載せないで個人の破産申立てが認められた(免責も得た)としても、それでは会社の連帯債務は免責されないので、債務としてずっと残ってしまう。
すなわちずっと請求され続け、返済義務から解放されない。
これでは個人の破産する意味はない。

法人(会社)の連帯債務が全くなければ認められる可能性はあるかもしれないが、会社には借入債務やリースなどの連帯保証が必ずあるので、ありえないと言わざるを得ない。
わたしは、代表者の連帯債務が全くない破綻のケースは見たことがない。

もしあるとすれば、法人の債務を[任意整理]で経営者個人が連帯保証していない状態にすることができればあり得るかもしれない。
しかし、それでは会社の債権者のメリットは何も発生しないので、同意を得ることは難しい。

よって、小規模零細企業の場合は、

・法人の破綻処理は放置して経営者個人の破産だけを実現することはありえない。
・法人の経営者になった以上、個人の破産だけを実現することはできない。
・法人と経営者個人は同一のものと理解すべし。
という結論に至る。

この運用があるために[放置逃亡]が少なくならない、という現実もある。
では、どうしたらいいのか。

債権債務の処理には破産管財人が必要になる。
予納金とはその破産管財人の費用だ。
破産管財人には弁護士が充てられる。
経済的被害をこうむる債権者が発生する倒産の処理を、無費用でやることはできないだろう。

この問題はたびたび考えるが、わたしはいまだに最良の方法を見出せないでいる。 

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